「ホウホケキョ」
「ツッツピー・ツッツピー」
「ツッピー、ツッピー」
11月も半ば、雨の午前中。
津田公民館の一室で、鳥の鳴き声に耳を澄ます大人達の集団がいました。
奨励学級「生き物博士と歩く小平の自然」の第4回、
「この木にくる鳥、何の鳥?」講座です。
その日は外で鳥の観察をする予定でしたが、あいにくの雨。
急きょ、室内で、講師の蔭山一人さん持参のパソコンから流れる
鳥の声を聞きながらの座学となりました。
機械音ではあるものの、それぞれ鳴き方に特徴があって、
目を閉じると玉川上水や奥多摩の森の中にさまよいこんだような
感覚になります。
■蔭山さんのお話では、鳥がいる場所とは、
まず“水や食べ物(木の実など)があるところ”
そして
“安心して休めて、巣づくりができる所”
だそうです。
当たり前のことですが、雑木林がどんどん開発されていくと、
安心して巣づくりができないという鳥社会の実情があります。
家の戸袋に巣をつくるムクドリや、
軒先でも巣づくりするツバメなどもいますが、
中央公園横の雑木林や津田塾大学の林がある玉川上水は
多くの鳥たちにとっては安心して休める貴重な緑なのではないでしょうか。
■玉川上水では夏鳥や冬鳥たちも旅の途中に一休みしていくそうです。
住みついて子育てする鳥、一時の宿にする鳥、いろいろあるんですね。
◇夏鳥・冬鳥(渡り鳥)
日本と海外とを移動する鳥は「渡り鳥」と呼ばれています。
夏に日本を訪れる鳥を「夏鳥」、
冬に訪れる鳥を「冬鳥」、
途中で日本に立ち寄る鳥を「旅鳥」と呼んでいます。
「渡り鳥」に対して、
◇漂鳥(ひょうちょう)といって、
国内で冬に山から里へ、夏に里から山へ移動する鳥もいます。
◇留鳥(りゅうちょう)と呼ばれる一年中同じ所にいる鳥も。
そして
◇迷鳥(めいちょう)
事情で本来の生息地ではないところに飛んでくる鳥もいたりして、
鳥の世界にも迷子が出るんですね。
■蔭山さんのお話で、いろいろ面白い鳥の生態を知りました。
カッコーは自分で子育てをせず、他の鳥の巣に卵を生んで
その鳥に子育てをしてもらうそうです。
しかも、カッコーの卵は育ての親鳥の卵より早く孵って、
巣にある卵を背中に乗せて、外に放り出してしまい、
自分だけちゃっかり育ててもらうのだそうです。
それってあり~?!
自分の卵を犠牲にしてまで、カッコーの卵を育ててあげる鳥もすごいけど!
■キビタキはウグイスやコジュケイの鳴き真似をするそうです、
モズも他の鳥の鳴き声を真似るのだとか。さてその鳥たちの鳴き声です。
いわゆる「さえずり」といういいきれいな声は求愛の時期だけのもので、それ以外は地鳴き(じなき)という地味な声で鳴いているとか。たとえばウグイスが「ホーホケキョ」と鳴くのは求愛のためのさえずりで、年間は「チャッチャッ」と鳴いているそうです。
はじめの
「ツッツピー・ツッツピー」はヤマガラ、
「ツッピー、ツッピー」はシジュウカラの
さえずりです。
また、「聞きなし」といって、鳥が人間の言葉をしゃべっているように、
日本語と置き換えた表現があるとか。
ホトトギス「てっぺんかけたか」
ホオジロ「源平ツツジ、白ツツジ」
ツバメ「土喰って虫喰って渋ーい」
ヒヨドリ「いいよ、いいよ」
コジュケイ「 ちょっと来い・・・母ちゃん怖い」
こんなのもあります。
センダイムシクイ「焼酎一杯グイー」
面白いでしょ。
■すべての鳥の種類の中で、東京の地域で見られる鳥はの3分の1くらいというお話でした。
森で鳥の姿を見つけるには、まず聴覚でどこにいるのか、鳴き声の音をさぐり、
動いたところをすばやく観察するのだそうです。
木の葉が落ちるこれからは、鳥を観察するのに格好の季節。
冬晴れの日には、鳥を見つけに出かけてみませんか。
そうそう、双眼鏡の選び方も教えていただきました。
鳥の観察には7、8倍くらいの倍率の視野が広いものがいいそうです。
安い家電店で売っているそうですよ。
今回蔭山さんには、
自由奔放に羽ばたく鳥の世界に案内していただきました。
講座が終わっても鳥の声が耳に残り、
外で鳥の声をがすると耳をそばだてている自分がいます。
これまで気づかなかったもう一つの世界を知った気分です。
講師の蔭山一人さんが所属する「小平野鳥と緑の会」のブログです。
http://coppicenote.blog89.fc2.com/
定期的に観察会を行っています。
奨励学級 第4回2009年11月17日(火)報告。
今回担当はどんぐりの会ピッピでした。